昨日の栗原先生に続き、今日は山木がオススメ本を紹介します。私も栗原先生と同じようにあまり多くの本を読むわけではありません。しかし、そんな私が何度も読み返したくなる本があります。それは『夜のピクニック（著：恩田 陸）』です。
母親が違う（つまり父親は一緒）兄妹が同級生として同じ学校に入学し、お互い関わらないようにしてきたが、３年生になり、同じクラスになってしまうというシチュエーションの小説です。高校生活の最後を飾る伝統行事「歩行祭」を舞台に、80kmもの道のりを親友たちと夜を徹し歩く非日常の中で、浮き彫りとなる青春と葛藤が描かれています。こう書くとドロドロじゃないか！って思うかもしれませんが、そんなことないです。とってもさわやかな若者達のストーリーですっきりした終わり方をします。
＜魅力１＞ ずっと読んでると実際に疲れてくる
疲れるんです。昼の暑さや夕暮れ等の描写と歩いている登場人物の心象描写が巧みすぎて、読んでるだけのはずなのに実際に歩いているかのような気持ちになり、疲れる。そのくらい入り込める作品です。特に夜が更けていき足が重くなる、みんなの口数も減ってくる場面はいろんな感情がぐるぐると渦巻いていきます。
＜魅力２＞普段無意識状態の自分を客観的に感じられる
皆さん普段の生活の中で何も考えていない時間ってありませんか？あの時間って自分はどんな状態なんだろうって思いませんか？何も考えていないようで、無意識レベルで「次の角で右に曲がろう」とか「あつ〜い、コーラ飲みたい」とか「なんであのときあの人はこんなことしたんだろう」とか色々考えるのが人間です。それを自覚できる場面がいくつもあるのが私には新鮮な体験でした。
私はこの小説を初めて読んだのは高校１年のときでした。その後３年くらいおきに読み直しています。そして読書週間を利用して再び読んだときに思いました。「俺も仲間と夜通し歩きたいな」と。それで去年のゴールデンウィークに山手線１周を思い立ち、決行しました。９月にも別ルートの夜のピクニックを行いました。夜に仲間と歩くと、また違った一面を感じることができ、楽しかったです。人生で一番疲れましたが。
大人になったらぜひ一度体験してもらいたいです。私と一緒に歩いてくれる仲間もひっそりと募集しています。
